この記事では、クリプトリンクにおけるステーブルコインUSDCの損益計算の取り扱いについて解説します。
法令の改正にあわせて、クリプトリンクではUSDCを「暗号資産」ではなく米ドル相当の法定通貨として計算するように変更しました。
これにより、USDCの取引で生じた損益は、暗号資産売却損益とは別に「為替差損益」という区分で集計・表示されます。
本記事では、変更の背景・計算方法・報告書での見え方を順番にご説明します。
USDCの取り扱いについて
これまでクリプトリンクでは、USDC(ステーブルコイン)を「暗号資産」として扱い、売買による損益はすべて「暗号資産売却損益」に含めていました。
今回の変更により、USDCを米ドル相当の「法定通貨」として取り扱うようになりました。
USDCの取引で生じた損益は、暗号資産売却損益とは分けて「為替差損益」という区分で集計・表示します。
なぜ変わったのか(背景)
2026年6月1日から、USDCは日本の資金決済法における「電子決済手段」として正式に位置づけられました。
これにより、USDCは会計・税務上、ビットコインなどの「暗号資産」とは別のカテゴリとして取り扱う必要があります。
位置づけのイメージは次のとおりです。
| 区分 | 該当する通貨の例 |
|---|---|
| 法定通貨 | JPY, USD, EUR など |
| 電子決済手段 | USDC, JPYC など |
| 暗号資産 | BTC, ETH, XRP など |
USDCは今後、JPYCと同じ「電子決済手段」のグループとして扱われます。これにあわせて、クリプトリンクでも次の点を変更しました。
- USDCの損益を、外貨と同じく「為替差損益」の区分に分離する
- 会計上の勘定科目を「暗号資産」ではなく「預け金」(JPYCと同じ取り扱い)に切り替える
法令上の位置づけや税務上の取り扱いの詳細については、顧問の税理士等にご確認ください。
損益(為替差損益)の計算方法
USDCの取得原価の決め方
USDCを取得したときの「いくらで仕入れたか」の記録ルールが、取得した経緯によって変わります。
| USDCを取得したシーン | 計算方法 |
|---|---|
| 円でUSDCを購入 | USD/JPYレート × 数量 |
| 暗号資産(BTCなど)を売ってUSDCを受取 | USD/JPYレート × 数量 |
| ボーナス・マイニング・ステーキング報酬として受取 | USDC/JPY市場価格 × 数量 |
| 証拠金取引の利益として受取 | USDC/JPY市場価格 × 数量 |
「ドルを買った」とみなせる取得方法(円での購入・暗号資産の売却による受取)のみ、取得原価をUSD/JPYレート基準で記録します。
ボーナスや報酬など無償で受け取ったケースは受取時点の市場価格で評価するため、その時点では為替差損益は発生しません。
為替差損益の計算式
代表的なケースの計算式と数値例をご紹介します。
ケース1:円でUSDCを購入したとき
為替差損益 = USD/JPYレート × USDC数量 − 支払った円
例: 10 USDCを1,500円で購入し、USD/JPY = 130円のとき → 為替差損益 = 130 × 10 − 1,500 = −200円(為替差損)
ケース2:USDCを円で売却したとき
為替差損益 = 受け取った円 − 取得時の平均USD/JPY × USDC数量
例: 10 USDCを1,600円で売却し、取得時の平均USD/JPY = 130円のとき → 為替差損益 = 1,600 − 130 × 10 = +300円(為替差益)
ケース3:暗号資産(BTC)を売ってUSDCを受け取ったとき
このケースでは「BTCの売却損益」と「USDCを取得した時点のレート差による損益」の2種類の損益が同時に発生します。
BTC売却損益 = USDC/JPY × USDC受取量 − BTC取得原価
為替差損益 = (USD/JPY − USDC/JPY) × USDC受取量
ケース4:USDCでBTCを購入したとき(USDCを手放す側)
BTC取得原価 = USDC/JPY × USDC数量
為替差損益 = (USDC/JPY − 取得時の平均USD/JPY) × USDC数量
総平均法の場合でもUSDCは移動平均法で計算します
総平均法を選択されている場合、通常は1年分をまとめて平均単価を算出します。ただし、USDCのみは計算方法に関わらず常に移動平均法で取得原価を都度更新します。
これは、USDCを「ドル」とみなして扱うため、購入のたびに為替レートが異なるのが自然であり、「期末まで取得単価が確定しない」という総平均法の考え方が馴染まないためです。
報告書上は「為替差損益」として別行で表示されるため、暗号資産の損益と混ざることはありません。
仕訳での見え方
勘定科目の対応表
USDC関連の仕訳では、勘定科目が次のように変わります。
| USDCの資産の勘定科目 | 預け金 |
| USDCで得た利益・損失の勘定科目 | 為替差損益 |
| USDCボーナス受取仕訳の貸借 | 預け金 / 受取手数料 |
| USDCレンディング収益仕訳の貸借 | 預け金 / 受取手数料 |
| USDC建ての手数料仕訳の貸借 | 支払手数料 / 預け金 |
| 摘要欄 | 「USDC電子決済手段」を追記 |
仕訳の具体例
例1:USDCを円で購入(10 USDCを1,500円、USD/JPY=130)
借方: 預け金 1,300 / 貸方: 預け金 1,500
借方: 為替差損益 200
摘要: USDC電子決済手段
- 預け金(USDC)には、USD/JPY換算額の1,300円を計上します
- 実際に支払った1,500円との差額200円が為替差損となります
例2:USDCを円で売却(10 USDCを1,600円、取得時の平均USD/JPY=130)
借方: 預け金 1,600 / 貸方: 預け金 1,300
/ 貸方: 為替差損益 300
摘要: USDC電子決済手段
例3:USDCでボーナス・報酬を受け取ったとき(マイニング・ステーキングなど)
借方: 預け金 / 貸方: 受取手数料
摘要: USDC電子決済手段
報告書の見え方
今回の変更により、各帳票・画面でのUSDC損益の表示が次のように変わります。
収支報告書(PDF)
- 「現物取引為替差損益」の行を追加しました(現物のUSDCで発生した為替差損益)
- 通貨別のUSDC行では、損益欄に「為替差損益の合計」を表示します
Excel帳票
| ファイル | 変更点 |
|---|---|
| 現物取引明細.xlsx | 「為替差損益」列を追加 |
| 取引所別収支・手数料集計.xlsx | 「現物為替差損益合計」列を追加 |
| 通貨別現物取引集計.xlsx | USDC行の「収支」を為替差損益合計に修正 |
取引明細の詳細ダイアログ(収支情報)
USDCの取引を開くと、収支の内訳として為替差損益の計算式と、計算に使用したUSD時価レートが表示されます。
(7.2 × 143.88) − (0.0001 × 10,071,600) = 28.776円
為替差損益:(7.2 × 131.485) − (7.2 × 143.88) = −89.244円
USD時価レート(131.485)を使用
まとめ
この記事では、クリプトリンクにおけるステーブルコインUSDCの計算処理についてご説明しました。
2026年6月1日の法令改正にあわせて、USDCは「暗号資産」から米ドル相当の法定通貨として取り扱われるようになり、その損益は「為替差損益」という区分で集計・表示されます。
報告書や帳票でも為替差損益が別行・別列で確認できるようになっていますので、USDCの損益は暗号資産の損益と分けてご確認いただけます。
計算結果や税務上の取り扱いについてご不明な点がある場合は、クリプトリンクのサポートまでお気軽にお問い合わせください。